「大島実業高校八十歳のゆらい」に寄せて-佐々木一宇 |
大島実業高校を昭和38年に卒業した我々80歳の有志32名は、10月13日奄美市名瀬のホテルで「大島実業高校八十歳のゆらい」を開催した。うち関東から2名、関西からは3名が駆けつけてくれた。
年齢を重ね再会したとたんに鮮やかによみがえる過去の思い出。青春を共有した仲間だからこそ、時を経ても分かり合える。そんな同窓会が脳に良いらしい、久しぶりに同窓会の原点と魅力を発見した。
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「八十歳のゆらい」参加者の面々 |
小生は東京から奄美へ来て早や16年になる。コロナ禍もあり東京へ行く機会が少なくなった。そんな事もあり同窓会の知らせを聞く事も無くなった。ところが奇跡があった。島でほとんど顔を合わせる事のなかった同級生との出会いである。
しかも高校時代には口をきいたこともなかったO・Rさんと、Y・Sさんの2名に名瀬のスーパーでバッタリ。彼女たちいわく「八十」過ぎたらめったに「ゆらえない」から集まろうと。僕もためらうことなく賛同した。
話は順調に進み、週末には喫茶店で男女9名が集まり周囲の迷惑を考えることもなくランチタイムを2時間。店のスタッフから何度か注意された。加齢で耳が遠くなったせいか声高になっていたらしい。そんな事など誰も気にせず、段取りなどを大声(?)で打ち合わせた。
そしていよいよ「大島実業高校八十歳のゆらい」は名瀬の会場「ビックマリン」で始まった。面倒で厄介なプログラムは手抜きをし、「話したい人が話し」「歌いたい人が歌い」「踊りたい人が踊る」。
島唄で始まり、カラオケ、詩吟、東京ブギウギ、島のブル−スなどが歌い踊られ、最後は六調で締めた。何のルールも作らず全員がエンタテイナーで、そこに同窓会の原点を見た。
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余興の部に備え腹ごしらえをする参加者 |
「同窓会は脳に良い」と言うと、意外に思うかも知れないが、それは医学的にも根拠があるらしい。同窓会に出て、過去の記憶をさかのぼるうち、誤った自分像に気付くらしい。思い出話に花が咲くうち「違うよ佐々木君」などと、思い違いを指摘される。
若い頃の自分像は、無意識のうちにちょっと美化されていたり、誤解からゆがめられたりして記憶されがちである。でも、そうした誤った記憶は、同窓生たちの言葉が上書きしてくれる。
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奄美市笠利町の用海岸で |
いやな思い出が引っかかって、同窓会の誘いをためらってしまう人もいるようだ。ひょっとするとそれは誤った記憶なのかもしれない。勇気を出して出席してみれば、誰もそんなことは問題にしておらず、心配は取り越し苦労だったと気付く。
そんな体験をした人は、少なくないのではないだろうか。昔の記憶をよみがえらせる。それは、認知症の治療にも活用されているらしい。最近の記憶が覚えきれなくなり、新しい記憶が残らなくなる。
でも不思議なことに、古い記憶はいつまでも脳のどこか深いところにしまい込んでいる。そんな古い記憶を取り出して改めて整理する作業が、脳の働きを高めるらしい。同級生と再会し、昔好きだった歌を歌うとワクワクした感情がよみがえる。
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1週間後に開いた反省会 |
五感にひもづけられた記憶を思い出す同窓会は脳を活性化させ、脳を若返らせてくれる。そんな刺激で快い気持ちにつながる同窓会は、そんな体験ができる格好の機会でもある。青春は心の若さ、同窓会への参加で青春は永遠です。
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