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奄美をテーマに歌作り−平達也

 私は本業の傍ら、作詞家として奄美をテーマにした歌を作っています。これまで「愛加那無情」や「まぼろしの糸」、「サンゴの海へ」など計11曲を書きました。

 いずれもヒット作とまでは至っていませんが、奄美歌謡グループ「夕月会」のメンバーとともに、NHKの紅白歌合戦で奄美をテーマとした曲が歌われるのが夢で、大きな目標となっています。

 来年は、NHK大河ドラマで「西郷どん(せごどん)」が放映されることになっており、流罪中の西郷どんを奄美で支えた島妻の愛加那にも光が当たるのを期待しています。また、自作の「愛加那無情」がその一助にでもなれば、と願っています。

愛加那無情の歌詞(セリフ入り)


 この曲を作ったきっかけは、奄美市の古書店で「愛加那記」(木原三郎著)と「西郷のアンゴ(島妻)−愛加那−」(潮田聡・木原三郎共著)を入手したことです。

 西郷どんを描いた本が250冊以上もある中で、愛加那を中心に論じた本はこの2冊だけでした。何回か読み返し、歴史の表舞台で活躍した英雄の陰で犠牲(主観ですが)ともなった愛加那の人生を思い、書いたのがこの歌でした。

愛加那の肖像画(龍郷町提供
愛加那無情を歌う私

1番では愛しい夫との別れ。2番の「再び三たび試練をむかえ」は、歌詞の中に名前は出てきませんが長男(菊次郎)との別れ、さらに長女・菊草(きくそう)との悲しい別れを描いたつもりです。

 身分社会の時代背景があったとは言え、生木を引き裂くようなあまりにも不条理な話で、愛加那の気持ちを思うと涙が出てきます。

西郷隆盛謫居(たっきょ)の家(龍郷町提供)

 この歌詞は、決して人生に対し明るい希望を与えるものではありません。しかし、奄美の審査員の共感を得たのか、第9回奄美歌謡選手権大会(平成25年5月)の作詞部門で最優秀賞を受賞しました。

 平成27年には、瀬戸内町出身のみたかずよさん(日本クラウン)のアルバム「夢と絆と南風」(セントラル楽器店制作)にも収録され、リリースしていただきました。

龍郷集落(龍郷町提供)

 私が作詞を始めたのは、今から30年ほど前になります。その時には「黒潮の港」と「名瀬慕情」、「浜昼顔」など計6曲を作り、豊基(ゆたか・もとい)先生に作曲をしてもらいました。

 その後、20数年ほどの空白期間がありましたが、4年ほど前から再開しました。先に記した3曲の他に「海峡未練」と「浜昼顔の花」を作りました。この5作は久永美智子先生に作曲をお願いしました。


妻の応援を得て愛加那無情を歌う私(第17回奄美高校・東京配田ヶ丘同窓会懇親会で)

 いずれの歌も奄美の風土や人情、夫婦の情愛などをテーマに書いています。冒頭、紹介した「まぼろしの糸」は榮夏代さん(奄美市在住)が、先立ったご主人をしのんで作った詩集「ありがとうの花束を」の実話に基づいて作りました。

 大きな目標はかなわないかもしれませんが、今後も奄美歌謡グループ「夕月会」の協力を得ながら、作詞活動を通じて古里・奄美のアピールに少しでも寄与できれば、良いなと思っています。
 
 ・youtubeで「愛加那無情」を聴く
 ・みたかずよさんのアルバムで「愛加那無情」 を聴く

 HP管理人から=小生は龍郷町出身ながら、愛加那についての知識は全くというほど無かった。平さんの資料によると、26歳で菊草とも別れた愛加那はその後、龍郷の里で寂しい40年間を過ごした。66歳時の夏の農作業中、脳出血で倒れ亡くなった。村の人々が盛大な葬儀を行った、という。

 愛加那関連で、「わが町の西郷さんと菊次郎−山田廣義」もお目通しいただければ、と思います。

(実高S42年中退、2017.08.09up)



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