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 奄美を旅して−上原繁夫
 HP管理人から=3月に学生時代の友人の観光案内を兼ねて、帰郷しました。友人は海とヨットが好きで、以前から「奄美の海を見てみたい」とのリクエストがありました。

 コロナ禍がようやく小康状態になったのを受け、実現しました。友人から奄美旅行の印象や感想等が寄せられましたので、以下にアップしました。ちょっと長いのですが、お目通しいただければと思います。

 小生は海の無い長野県出身です。HP管理人さん(Y君)の案内で、3月20日から23日までの間、奄美大島(以下、奄美と略)を訪ねました。4日間のうち3日間は雨と曇り空で、天候には恵まれませんでした。それでも1日だけは、雲間から時折差し込む陽の光で奄美の海はエメラルドグリーンに輝いていました。

 また、金作原の原生林や新緑に萌える奄美の山々からエネルギーをもらい、郷土料理と風土・人情に癒された大満足の4日間の旅となりました。以下に“初めて来た旅行者”が感じたことなどを思い付くままにまとめてみました。

瀬戸内町のコバルトブルーに輝く海

瀬戸内町嘉鉄集落の入り江、「ハートが見える風景」という案内板があった

訪問地の印象あれこれ

 前記の通り、私は高校生まで長野市で育ったので海辺での生活については良く知りませんでした。 が、海とヨットが好きだったせいか、最近はカリブ海やエーゲ海、アドリア海、大西洋のカナリア諸島などを巡って、ますます海のそばでの生活に関心と憧れを持つようになりました。

 奄美の海は「エメラルドグリーン」と呼ばれる優しい色合いをしていました。一方、エーゲ海は「青色」と呼ばれ、地形には荒々しさがありました。切り立った海岸の形状は似ていましたが、奄美大島の山々には広葉樹林が広がり、とても癒されました。

 また、沖縄県の海にも行きましたが、沖縄にはビーチのそばに大きなホテルがあり、よく開発されているイメージがありました。一方で、奄美は平地が少ないため、ビーチも狭く小ぶりでした。

 しかし、ビーチの近くに大きなホテルなどの建物がないため、自然を身近に感じることが出来ました。 また、海の色は沖縄とほぼ同じ「エメラルドグリーン」で、関東の海岸とは異なる白い砂浜が広がっていました。そのためか、まばゆいばかりの明るさがあり、本土からの観光客にはとても好まれる風景だと思いました。

 今回の旅は、某航空会社のフリープランとレンタカーを利用しました。しかし、金作原原生林はガイド同行でないと入れないため、ここだけは地元のツアーに参加しました。多くの亜熱帯植物や鳥を見ることができました。また、ヒカゲヘゴや広葉樹の葉が優しく匂い、ツアーガイドの語り口も穏やかで、何とも言えない安らぎを感じることができました。

ヒカゲヘゴ(画像クリックで拡大します) ギンリョウソウ(上)と奄美エビネ(同左)

 3日目に訪ねた本島南部の瀬戸内町古仁屋は、港町の雰囲気と美しい海岸、丸い石が敷き詰められたホノホシ海岸など、関東の海岸とは異なった地形や植物が見られ、時間をかけて行った価値がありました。また、高知山展望台からの大島海峡の景観は、瀬戸内海を思い浮かべました。

 その後、訪ねた宇検村には「れんと」という銘柄を造る黒糖焼酎の工場があり、カリブ海のラム酒と同じサトウキビで作るアルコール(酒)の歴史に触れることができました。帰路に通った大和村集落の地形はこじんまりしていましたが、白い砂浜と海に突き出た宮古崎が作り出す景色は、とても居心地が良かったです。

 関東では見ることのできない聞くことのできない鳥のさえずりなど、亜熱帯の雰囲気を味わうことができました。特に初めて聞くアカヒゲという国内希少鳥の鳴き声は、鈴を転がすような何とも涼やかな声色で、金作原と宮古崎で2回も聞けたのはラッキーでした。

高知山展望台から見る大島海峡

 最終日に奄美空港へ向かう途中に立ち寄った田中一村記念美術館は、奄美の高倉群をイメージしたとても美しい 建物で、栃木県出身の一村が奄美に落ち着くまでの道程に関心を持ちました。特に、奄美に渡ってからの作風の変化には興味を持ちました。地域の環境と風土が芸術家に与えた影響を垣間見ることができました。

 2日目の昼食は、龍郷町幾里集落にある「あらば食堂」で取りました。地元の若い人たちが中心となって地域を盛り上げようと取り組んでおり、その味も印象的でした。やはり、若い人たちがリードできる環境はどこでも必要だと思いました。

 食べ物は郷土料理を中心にどれも美味しかったです。鶏飯は美味しかったし、料理好きの小生には他の具材を使ったアレンジが出来そうで楽しみです。特に、鶏飯や油そうめんは地元ならではの味でした。ただ、ヤギ汁と豚足は美味しかったのですが、翌朝まで胃がもたれたのには参りました。

 夕食は3日間とも奄美市名瀬で取りましたが、どこも郷土料理と丁寧な接客に好感を持ちました。出来れば、夜の居酒屋でも精算時には分かりやすい明細書の入った領収書が出ると公正な感じがする、と思いました。

奄美の海で感じたこと

 印象に残った場所は、あやまる岬と瀬戸内町から見る海です。どちらも奄美の海の象徴だと思いました。もちろん、大和村の宮古崎もテレビで放映された場所ですが、東シナ海に突き出した岬で、印象的な地形でした。曇り空が続き、ここからの夕日が見られなかったの残念でした。

 旅行中の海はどこも穏やかで静かな海面でした。ヨットで巡ればとても快適な旅になるな、と想像してしまいました。また、ほとんどの海岸は切り立った断崖で、太平洋や東シナ海の厳しい気象が想像させられました。

 海岸はゴミもなく、きれいに管理されていました。一度だけゴミの回収作業を行っている所を見ましたが、多大な労力と経費を使って管理していることが理解できました。海水の透明度はとても高く、期待に応えるものでした。黒潮の真ん中に位置する奄美では、太平洋側と東シナ海を同時に見ることができる龍郷町の加世間峠からの光景がとても印象的でした。

加世間峠から見える太平洋(右)と東シナ海側の龍郷湾(HP管理人提供)

奄美市笠利町の土盛海岸

再訪したいと思わせる奄美に

 観光客は思いのほか若い人が多く、南国への憧れは時代を経ても変わらないと感じました。繰り返しになりますが、奄美の人々や文化には非常に癒されました。海外の事務的なサービス対応などと比較して、とても優しく感じました。

 奄美は観光地として、コロナ禍前の観光客数に戻り始めているようだと聞きました。Y君によると、2年前に奄美・徳之島が沖縄島北部及び西表島とともに世界自然遺産に登録されたことで、TVタレントなどを使った番組が頻繁に放映されるようになり、それが観光客増につながっているのではないか、とのことでした。

 しかし、奄美を実際に訪ねてみて、沖縄県と鹿児島県の中間にあって、観光客への訴求力が弱いように思えました。このブームを一過性に終わらせるのはもったいないと思います。

大和村の宮古崎と思勝湾

 メディア露出に頼るだけではなく、きちんとしたマーケティング戦略と投資計画が必要だと思いました。奄美大島総合戦略をインターネットで閲覧しました。良く検討された内容ですが、現在のままでは近くの沖縄県の小型版のような扱いになってしまうことがありそうです。

 既に実施しているかも知れませんが、先に自然遺産に登録された屋久島や小笠原諸島など先進地域の現況分析や事例研究、観光客へのアンケート調査、SNSの分析なども必要だと思いました。結局は、一度訪れた観光客をリピーターにしていくのが大事ではないか、と思っています。

 確かに奄美は、自然が豊かで美しい海や植物、鳥、そして豊かな食文化がある素晴らしい場所でした。また、地元の方々はとても親切で、心温まる体験をたくさんさせてくれました。

 個人的にはブーゲンビリアやサガリバナ、ハイビスカスなど亜熱帯植物の群落・群生する場所(花園など)があれば、点から面に広がりインパクトがより強くなるのでは!?、と思いました。

「れんと」の工場案内所での小生

 金作原ツアー以外のガイドはY君が務めてくれました。ただの酒飲みのおじさんとばかり思っていた彼が多くの植物や鳥の名前を知っていることに驚き、ちょっと感心しました。Y君と一緒に旅をしたことで、より深く奄美に触れることができ、とても良い思い出となりました。

 また、加計呂麻島や天候のせいで見られなかったビーチもあったので、機会があればぜひ再訪したいと思います。その時には3泊4日ではなく、1か月ほど民宿にでも泊まり、何もしないで奄美時間をゆっくり堪能したい、とも思っています。また、海とヨットが好きな友人達に奄美旅行を勧めるつもりです。

(2023.04.09up)


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