配田ヶ丘短歌会

短歌と想い・・・佐々木一宇

    「母ちゃん」とつぶやく時のやさしさは
              まなこにかすか汗の満ちゆく

  ふたたびに生まれ変わりて我が母の
              味噌汁たべて大きくなりたし

     七十年鏡の中を歩みゆく
             吾は今朝また見つめられおり

     村むらを微笑みの色に染めゆきて
             役目を終えしお陽さましずむ

     歩くとき影と離れるからだかな
              心はずみて口ずさみおり

     雨降れば祈れるごとく村を行く
             水たまりの影騒ぐをまたぎて

     「もしもし」って会話もしないラインだけ
              死語になるかも情報社会

     無理をしてオスプレイを一機買いました
               空から幸せ探すためです

     週一はツンと淋しく赤ワイン
               星の涙をおつまみにして

     昭和の日吾も行きたる東京へ
              黒煙噴いて行く汽車に乗り

     公害と言われて消えし機関車は
                黒い煙で夢を運んだ

     吾も行く金の卵の同胞と
            高千穂丸にああ七色のテープ

     眠れぬ夜に記念アルバム友の顔
                 五年前の姿で笑う

     学び舎の記念日に集いし友垣よ
              もみじ織りなす顔・顔・顔

     落ち葉掃く手を休ませて風を吸う
             穏やかなりし昨日も今日も

     仏前に父命日の焼酎は
             氷をひとかけ浮かせて感謝

     焼酎に煮え湯そそげば匂い立つ
              月明かり見ゆひとり縁側

     故郷の純粋培養の役人は
              民の暮らしも心もとなく

     ふたたびの真夜に目覚めてさまよいて
             歌詠みするは歳のならわし

     目をつぶり今日の出来事ふりかえる
            闇にまぎれて見つからぬ日々

(S38年実高機械科卒、2018.09.12up)


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