| 叶氏らが「リーディングス外から見た奄美諸島」を出版 |
拓殖大学教授などを歴任した叶芳和氏らが昨年からまとめていた奄美の関連本「リーディングス 外から見た奄美諸島」がこのほど、(株)南方新社から出版された。
サブタイルトルとして「−奄美のアイデンティティとは何か−」と題するこの本は、同氏と奄美の歴史や風土、文化等を独自の手法で研究している18人の論文をまとめた奄美を理解するための入門書だ。
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| 表紙(画像クリックで拡大します) |
チラシ(画像クリックで拡大します) |
内容は三部構成で、第一部は奄美学のインフラ(歴史・自然・言語)紹介からなり、今日の奄美を創ってきた根底にある要素の論考だ。
第二部では外から見た奄美諸島各論の特集で、江戸期から昭和にかけて島流しや研究などのために来島した西郷隆盛や柳田国男、司馬遼太郎、田中一村ら島外出身者が見た奄美のアイデンティティにアプローチした。
さらに、第三部は奄美魅力のイッピン。ユニークな奄美の文化や島唄、郷土料理、大島紬などを取り上げている。
編著者を務めた叶氏によると、この本の特徴は編集過程で論文の寄稿者と部外者のコメンテーターが参加するオンライン研究会を開いたこと。その中では論文の疑問点や表現方法などについて質疑応答があり、それによって内容がブラッシュアップしたことだ、と話す。
叶氏は「専門書ではなく、郷土を広く知るための啓蒙書を目指した。各種論文からは私も知らなかった奄美がたくさん出てきた。われわれ執筆者一同はこの本が『奄美の魅力を伝える一冊』となり、地域振興に役立てば望外の喜びである」と語っている。
奄美高校・東京配田ヶ丘同窓会関係者では、薩摩藩による奄美差別を研究テーマとしている箕輪優氏(S44年旧実高卒)が「薩摩藩による奄美差別に関する一考察」を寄稿している。また、小勝顧問とHP管理人がコメンテーターとして参加した。
HP管理人も出身者でありながら、「古代奄美人は『海洋の民』であった。明治期の頃は古仁屋地域より加計呂麻の方が人口は多かった。さらに加計呂麻は貿易で栄え、テッポウユリの生産(輸出用)は沖永良部より多かった」等々知らなかったことも多く、得るものがあった。
HP管理人は第三部が一番読みやすく、親しみやすい内容だと感じた。また、叶氏は奄美の実業・実学・伝統文化を高く評価しており、それがこの三部に表れている。
ご購入希望の方はチラシ(PDF)を印刷し、(株)南方新社へご注文ください。
A5判、390ページ、定価は2700円+税。
◎論文タイトルと著者名は以下の通り
第一部 奄美学のインフラ 歴史・自然・言語
1.考古学から見た奄美−カムィヤキ発掘−(四本延宏) 2.奄美の世界自然遺産(星野一昭) 3.奄美語の力−生物文化多様性のために(新井典子)
第二部 外から見た奄美諸島各論
4.柳田国男『海南小記』(及川高) 5.名越左源太『南島雑話』(名越護) 6.笹森儀助と奄美(田畑千秋) 7.ドゥーダーラインの見た明治期の奄美(桑原季雄) 8.ハリングが見た米軍政下の奄美(桑原季雄) 9.私と奄美(ヨーゼフ クライナー) 10.島尾敏雄「ヤポネシア論」(仲里効) 11.薩摩藩は奄美諸島をいかに統治したか(皆村武一) 12.薩摩藩による奄美差別に関する一考察(箕輪優) 13.西郷隆盛の奄美観(安田荘一郎) 14.奄美のサトウキビと黒糖(東美佐夫)
第三部 奄美魅力のイッピン
15.司馬遼太郎が心寄せた“島人と奄美文化”(酒井正弘) 16.田中一村が見た奄美(久保井博彦) 17.奄美島唄考(指宿邦彦) 18.奄美の郷土料理(浜田百合子) 19.本場奄美大島紬(南佑和)20.加計呂麻島のネシア発信力
(叶芳和)
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