各種提言・お願い等

映画「神の唄」を製作−シマ唄を世界に!!

=応援団参加のお願い−渡辺真也 =

 奄美のシマ唄とその唄に登場するヒロインたちをテーマとした映画製作のプロジェクトが進んでいる。製作しているのは静岡県沼津市出身の渡辺真也監督で、映画は時空間を超えた4つの章「奄美世」「那覇世」「薩摩世」「明治維新」から構成されている。

 完成した第1章の「奄美世」は、昨年8月に龍郷町りゅうゆう館で上映会を行った。この春には「薩摩世」、夏には「那覇世」、秋には最終章の「明治維新」の撮影を開始する。編集作業等を終えた後、2020年春の完成試写会を目指している。

 渡辺監督によると、出演者らは唄者の朝崎郁恵さんを軸に全て奄美のキャストとスタッフで作る考え。オーディションに合格した奄高卒業生の柿岡朱香さんには、第2章から第4章まで主人公の人生に関わる重要な役どころを担ってもらう予定、という。

 地元奄美ではこの映画製作を成功させようと応援団事務局を立ち上げ、個人での寄付応援や広告・協賛応援の支援・協力を応援申込書(PDF)で呼び掛けている。

朝崎さん(左)と渡辺監督

第2章から出演する奄高卒の柿岡さん

 同監督によると、映画製作は今から3年ほど前にベルリンの芸術大学に留学中、「YouTube」上にアップされていた朝崎さんの「シマ唄」を初めて聞いたのがきっかけだ。この時、なぜだか声を出して泣いてしまった体験をしたことから始まった。

 そんな中、愛知県出身の奄美2世の方から「私の父の故郷である奄美を舞台にした映像作品を撮りませんか」という相談を受け、17年2月にその方の親戚筋である龍郷町のお宅に2週間ほど滞在させていただき、リサーチを行った。

 その際、奄美の人たちは渡辺さんが訪ねて来た世界58カ国の誰よりも優しく美しい心を持っていることに心打たれた、という。その一方で、薩摩藩の植民地となった奄美では黒糖の生産が強制され、そこで生産された黒糖が同藩の全収入の3分の1を占め、それが明治維新の倒幕資金になったことなどを知った。

 その後、朝崎さんを訪ねると、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人たちが奄美に日本文化を伝えたことや薩摩の圧政下で文字を書くことを禁止された人々は、その辛い思いをシマ唄にして表現したのだ、と語った。

 その上で 、弾き語り『哀史奄美』を披露してくださった、という。またも涙が止まらなくなった渡辺さんは、奄美シマ唄の映像や音声が記録として十分残っていないことを知った。

 朝崎さんが元気なうちにその声と映像を4K(高画質)
、5.1CH(高音質)という最高の映像音楽作品として残すことで、日本のみならず世界の未来の記憶のために奉仕したいと考え、ベルリン芸術大学での博士号取得のタイミングで渡辺さんは帰国した、という。

画像クリックで拡大(PDFファイル)します


 映画は前記の通り、完成した「奄美世(アマミコとシニレク)」、「那覇世(嘉徳なべ加那)」、「薩摩世(うらとみむちゃ加那節)」、「明治維新(ウォートルスとましゅ)」の4つの物語から構成されている。

 その異なった時代に生を受けたヒロインたちは、実は一つの魂が輪廻(りんね)転生して受け継がれ現れたものであり、その悲劇のヒロインたちの言葉を朝崎さん演じるノロ神(巫女、女性の祭司)が自らの口を通して語っていくストーリー、という。

 そして、その各々の物語の中では「おぼくり」「ヨイスラ節」「嘉徳なべ加那」「糸くり節」「行きゅんにゃ加那節」などのシマ唄が2〜4曲づつ挿入され、奄美の情景を豊かに描き出す。

 主なキャストとしては朝崎さんと柿岡さんの他に成瀬茉倫、山下誠士郎、平田まりな、住姫乃、前山真吾、ピーター・マクミランさんらが出演する。

 渡辺監督は「奄美の集落に残された伝統芸能『シマ唄』に残る奄美の歴史の物語を、朝崎さんを含むオール奄美キャスト&スタッフにて、その唄が実際に誕生した場所で失われつつある奄美方言のシマユムタで再現・保存し、シマ唄を芸術として発信したい」と語る。

 その上で「奄美のシマ唄に残る自他の区別を超えた『情』の世界を、奄美の人たちと共に芸術として世界に紹介することで、奄美の唄者を世界に誇れる芸術家として紹介したい」と意気込んでいる。

(2019.01.29up)



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