会員短信



実高S43年卒生が鹿児島・天文館で暑気払い開催−各地から12人参加

 鹿児島県立大島実業高校(現奄美高校)を昭和43年に卒業した有志は、鹿児島市の天文館で暑気払いを開催しました。会は7月28日と同29日の連夜にわたり、28日は恩師夫妻を含め12人、29日は8人が参加しました。

 また、鹿児島市の維新ふるさと館や南九州市知覧町の特攻平和会館・武家屋敷群を訪ねるなど、鹿児島の風景を楽しむと共に栄光と悲惨な歴史に触れながら旧交を温めることが出来ました。

桜島(上、1,117m)と開聞岳(924m)

 当初は20数人が参加するミニ同窓会の予定でしたが、奄美をはじめ鹿児島県内で再び新型コロナが流行の兆しを見せたため急きょ延期が決定。ところが、既に航空券や宿の手配をした人から、一人でも個人的に鹿児島の漫遊旅行を楽しみたいとの声が出ました。

 それを受け、合流できる人は天文館辺りで久しぶりに焼酎でも酌み交わそうとの話になりました。その結果、地元鹿児島のメンバー
を中心に集まれる人だけで暑気払いを開催する形となった次第です。
維新ふるさと館(鹿児島市加治屋町)

知覧武家屋敷案内板

旧高城家住宅(武家屋敷の一つ)

 知覧武家屋敷は鹿児島(鶴丸)城を守るため、藩内に113設けられた外城(とじょう)の一つ。薩摩の典型的な武家屋敷群の形を成し、近くの山を借景とするなどの工夫で薩摩の小京都とも呼ばれています。その一方で、屋敷内には防衛のための屏風岩や目隠しなどの防御設備が供えられています。  

 最も見学に時間を要したのが、知覧特攻平和会館でした。館内には先の大戦で使われた戦闘機や特攻で戦死した隊員の写真、遺品、母への手紙などが展示されていました。

 さらに特攻に赴くまでの経緯や特攻前夜の隊員の様子などを紹介するビデオが上映されていました。10代後半の少年たちも出撃して行ったのが現実にあったことを知った人の中には、涙ぐんでいる方もいました。小生も久しぶりに厳粛な気持ちになりました。

 同館HPによると、特攻作戦には知覧基地をはじめ、都城(宮崎県)など九州の各地、そして当時日本が統治していた台湾など多くの基地から出撃しています。

 知覧基地が本土最南端だったということから全特攻戦死者1,036名のうち、知覧は439名(中継基地となった徳之島・喜界島を含む)で、実に半数近くがこの基地から出撃しているそうです。

知覧特攻平和会館玄関

海軍零式艦上戦闘機(1980年、薩摩川内市の甑島の手打港沖合から引き揚げられた)

特攻隊の若者と鳥濱トメさんの写真を飾る石原慎太郎碑

鶴田正義さんと降旗康男監督の碑(上2点は画像クリックで拡大します)

 会館の外には幾つかの慰霊碑が建てられていました。三つほどそれを紹介します。

 特攻隊の搭乗員と思われる方の碑には
「帰るなき機をあやつりて征きしはや 開聞よ 母よ さらばさらばと」 鶴田正義

 高倉健主演の映画「ホタル」を監督した降旗康男の碑には
「燃えつきず 立ち寄る家の 今 ありやなしや ホタルよ ここでやすんで下さい」

 石原慎太郎の碑には
「短い青春を懸命に生き抜き散っていった 特攻隊の若者たちが『お母さん』と呼んで慕った富屋食堂の女主人鳥濱トメさんは、折節にこの世に現れ人々を救う菩薩でした」

と、それぞれ刻まれていました。


知覧特攻平和会館玄関前にて

 特攻平和会館からの帰路は、薩摩富士とも呼ばれる開聞岳や池田湖などの景色を楽しみながら鹿児島市へ。そして夜は奄美出身者が経営するちゃんこ料理屋「朝の海」で夕食を楽しみ、カラオケで締めくくりました。

 参加者の一人は「楽しい良い思い出が出来ました。いつまでこのように元気でいられるか分からない。今度は奄美で早く会いたいね」と語り、もう一人は「名瀬の朝の海には時々行っていた。名瀬が閉店したので鹿児島でちゃんこを食べられてうれしかった」などと話していました。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、全員が次回の再会を約束して夜遅く散会しました。車を出してくれたA君、M君本当にありがとうございました。この場を借りて、お礼申し上げます。

カラオケでくつろぐ参加者(M・Yさん提供)


 小生にとって、皆さんとお目にかかるのは還暦同窓会以来で、中には初の方も何名かいました(もちろん相手から見れば同じことですが)。お互いに外見面はそれなり(!?)の風格を漂わせていましたが、精神面はまだまだ若いと感じました。

 翌日は一人で南洲神社と南洲墓地、それに西郷南洲顕彰館を訪ねました。40年ほど前に勤務の関係で10年近く鹿児島に住んでいましたが、ここの3個所は初でした。

 西南戦争では身内や旧薩摩藩の武士同士で争ったことを改めて知り、鹿児島は特攻基地と共に悲惨な歴史を背負っている、と感じた次第です。

南洲墓地内にある西郷隆盛の墓

西郷南洲顕彰館

県歴史資料センター「黎明館」に復元された鹿児島(鶴丸)城の御楼門

(HP管理人=山田信廣、2023.08.04up

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