私は(奄美市名瀬出身、旧姓重信)は、9月2日(月)〜同8日(日)の間、東京・銀座の「銀座幸伸ギャラリー ( 中央区銀座7−7−1)」で、【ささやくものたち2024】と題する個展を開催いたしました。
私の絵画は、現実にある風景をそのまま写生するのではなく、心の中に思い浮かべた心象風景を描く抽象画です。今回は半年余をかけて完成させた新作の「大地のささやき」(F130、194cm×162cm)を中心にして、その他の小品など含め20点ほどを展示いたしました。
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会場の銀座幸伸ギャラリー |
銀座で開催するのは、コロナ禍の影響もあって2年ぶり7回目。今回は、新型コロナが昨年5月から「5類感染症」になったことと、それに奄美新聞が前触れ記事を、そして南海日日新聞が会期中に記事にしてくれたおかげで、奄美関係者を中心に前回よりかなり多くのお客さんが見え盛況でした。
中学時代の同級生が訪ねて来たのにはビックリしました。会うのは約20年ぶりほどで、改めてマスコミの影響力に感心した次第です。また、励ましの言葉や心温まる差し入れや生花なども頂戴いたしました。誠にありがとうございました。
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「大地のささやき」をバックに同窓会の方々と私(左から二人目) |
同窓会のYさんのテニス仲間で初日に見えた小平市在住の小島さんから、Yさんに感想が寄せられました。今後の励みとなる内容でした。ご本人の了解を得て、以下に掲載させていただきました。
私は9月初旬に東京・銀座の画廊で開かれた奄美出身の画家、津江三千子さんの絵画展を鑑賞した。私は奄美とは縁もゆかりもないが、好きな田中一村の絵画展に行くつもりでいた。
それを奄美出身のテニス仲間に話したところ、「奄美のサガリバナなどをモチーフにした画家の展覧会があるよ」と、この絵画展を教えられた。絵は大小合わせ20点ほどあり、ほとんどがサガリバナを中心にして「水(滝、水面)」と「緑」を配した明け方の幻想的な水辺の風景が描かれていた。
知らなかったが、「サガリバナ」は奄美で6〜7月の夜に咲き、翌朝には散る神秘的な花ということだった。散りゆく花は、まるで綿毛のようでもあり、水草のようでもある。ぜひ実物を一度、現地で見てみたいと思った。
津江さんは「現実の風景を心の中で昇華して描いている。奄美の風景を通して命のはかなさを描きたい」と話していた。絵をじっくり見ると、それが伝わってくるような気がした。副題にある「ささやくものたち」のささやきが!動物は登場しないが水の中、木々の暗がり、茂みの中で息づいていた。
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月影のサガリバナ |
NHKの「美の壺」で、奄美では「五感を研ぎ澄ませ自然の恵を慈しむ暮らしがある」、「森の声を聴く」と言っていた。津江さんにもそれが自然と身についているのだろう。併せてそれをキャンバスに表現できる技術も。
見ながら思い出したものがある。SF映画「アバター」の惑星パンドラの幻想的な深い森だ(もちろんCGだが)。そこでは植物は意思を持っているかのように電気信号で交信しあい、生物はそのささやきを聞くことができる。そして惑星全体でネットワークを構成している。確かサガリバナの綿毛のようなものも飛んでいた。
私が一番気に入った絵は「月影のサガリバナ」だ。絵はそれほど大きくなかったが、緑色を基調とし、夜明けの水辺に大きくサガリバナが咲き、そして水面に浮いている。もちろん滝もある。とても幻想的な絵で癒された。
帰りの電車でふと思った。小さいころにたくさんの命(生と死)と出会う大切さを、そして命を感じる大切さを。今では、その機会と感性がどんどん失われていく。10月には上野の東京都美術館で開かれる「田中一村展」に行く予定だ。そこでもまた奄美の命とエネルギーに出会えるだろう。とても楽しみにしている。
・南海日日新聞社投稿欄「ひろば」欄に掲載されました。PDFで見る。
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