迎賓館赤坂離宮を参観−與島隆博
小生は12月某日、同窓会員6人で東京都港区元赤坂にある迎賓館赤坂離宮を参観しました。それまで、フランスのベルサイユ宮殿風の建物が場違いな所に建っているなとは思っていましたが、敷地内や館内に入るのは初めてでした。
しかし、その日本離れしたたたずまいは大変美しく、ヨーロッパのどこかに迷い込んだような非日常の感覚を覚えると共に、当時の人々が西欧列強に一日でも早く伍(ご)していこうとする気概を感じました。
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本館と主庭の噴水
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本館正面
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今回の参観は、会員のYさんが内閣府の迎賓館赤坂離宮の一般公開抽選に申し込み、実現しました。この場所は、かつて紀州徳川家の江戸中屋敷のあったところです。
同館の資料によると、敷地は約11万7000平方メートル。建物は幅125メートル、奥行き89メートル、高さ約23メートルの赤坂離宮(東宮御所)が明治42年に完成しました。
建物の構造は鉄骨補強の煉瓦造りで、地上2階地下1階の耐震耐火構造となっています。当時の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した、日本における唯一のネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築だそうです。
昭和天皇や今上天皇が一時期お住まいになりましたが、第2時大戦後には国に移管されました。その後、国の行政機関が使うなどの変遷を経ながら、昭和43年から外国の賓客を迎える迎賓館として改修工事が始まり、同49年に完成しました。
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本館屋根の天球と鳳凰、桐の紋
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噴水広場前で
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正門の扉
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中央階段に通じる本館扉の前で
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しかし、西洋風建築ながら屋根の上には守護神のような甲冑(かっちゅう)姿の像を2体並べるなど、一部では日本の伝統を取り入れたオリジナリティを感じました。
館内は「花鳥の間」「羽衣の間」「彩鸞の間」「朝日の間」の4部屋と大ホールなどから成っています。いずれの間も写真撮影厳禁でしたが、豪華絢爛そのものでした。首脳会談や晩餐会などの外交行事に使われているそうです。
また、国賓が泊まる部屋から見える建物の南側にある西洋風の主庭も見学し、散歩を楽しみました。
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本館正面屋根の上に並ぶ甲冑姿の像
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剪定(せんてい)されたマツの並木と本館
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参加者6人の中でただ一人、迎賓館の正面広場で仕事をしたというKさんは「フランスのミッテラン大統領が国賓として来日した際、陸上自衛隊『と列』部隊の小隊長として歓迎行事に参加しました。32歳の時の懐かしい思い出です」と、感慨深げに語っていました。
また、女性陣のMさんらは「国賓をもてなす行事がここで開催され、ニュースとしてTV放映されればより身近に受け止められる。今日は大変良かった」と、喜んでいました。次回は、サクラの季節にでも今回見られなかった迎賓館の和風別館を見学したいと思っています。
※と列とは=国賓や皇族が到着した玄関口などから目的地まで向かう際、自衛隊員が適度な区間に一定の間隔で並び送迎すること。
(実高S45年卒、2016.12.28up)