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長野県・乗鞍岳と松本城へ−小勝竹雄


 今年も雄大な夏山を求めて、長野県の乗鞍岳(3026m)と松本城を夫婦で訪ねた。日程は2泊3日。左足が不調のため、宿は山麓のホテルを取り時間に余裕を持たせたゆったりとしたコースを組んだ。

 乗鞍岳では雄大な風景と爽やかな高原の風を楽しみ、天守閣が国宝となっている松本城では改めて歴史を勉強することになった。
また、3日間とも上質の温泉にゆっくりとつかり、日ごろの疲れを癒やした。

畳平のバスターミナル


 ◇第一日目・8月24日(水)晴 JR中央線豊田駅を午前8時11分発甲府行きの列車で出発した。平日だったが夏休みでやや混んでいた。天気予報では当分好天とのことで安心した。

 甲府駅には10時に着き、松本行き列車に乗り換えた。旅行と登山客でほぼ満席の状態だ。松本駅に午後0時52分に着く。松本電鉄上高地線への乗り換え時間は約30分余。電車の乗降ICカードが使えず、いったん改札を出て乗車券を買い、弱い左足をかばいながら階段の上り下りを急いで上高地線に乗り換えた。

乗鞍岳山頂への登山口で


 上高地線は短い車両で車窓の両側に田園が広がり、のどかな路線だ。時折、遠くの山並みが眺められ楽しい山行気分になった。やがて終点の新島々駅に午後1時58分に着いた。 駅前のバスターミナルから2時10分発のバスで乗鞍高原温泉に向かった。

 バスは梓川に沿って整備された国道158号線を走り、梓川の青々とした渓谷と川の流れが清々しく信州らしい風景が楽しめた。 間もなく3時20分に乗鞍岳麓の乗鞍高原温泉郷に着き、宿のホテルに入り温泉にゆっくりつかった。

 この温泉郷は登山だけでなく、広い高原と草原のトレッキングコース、冬はスキーなどが楽しめるため、さまざまな安い宿から高級ホテルまである。温泉はかけ流しの乳白色天然温泉が有名という。夕食は6時から広々とした食堂で始まり、大勢の宿泊者でにぎやかだった。

イワギキョウ

トウヤクリンドウ

コマクサ
アキノキリンソウ


◇第二日目・8月25日(木)晴 午前5時に起きた。登山のルールに従い、早立ち早帰りの計画で朝食は弁当をお願いして近くのバス停から7時発の乗鞍岳畳平行き直通路線バスに乗った。

 バス道路は急勾配で道幅が狭い上に急カーブが多い。このため、マイカーは制限され、路線バスと観光バス、それに公共・営業車のみが乗り入れを許可されている。
 
 バス終点の畳平には7時50分に着いた。バスを降りると広場には乗鞍岳を目指すハイカー、高原散策ツアーの団体でにぎわっていた。畳平は標高2702メートル。気温は16度まで下がり寒いため、Tシャツの上に長袖シャツを着けた。

 乗鞍岳頂上を目指す元気な女房を8時10分に見送り、私は畳平の周辺に広がる高山植物のお花畑を散策した。しかし、花の見頃は6月下旬ごろから8月上旬ごろまでで、ほぼ終わりかけていた。

 花の写真は、女房が山の上で写してくるのを期待して登り口で下山を待った。女房が午後零時30分にようやく下山してきた。写真撮影時間を除くと、登りが1時間40分、下りは1時間20分ほどかかり、思ったよりきつかったということだった。

 時折、ガス(霧)の流れで眺めをさえぎられたとのことだった。子供連れの家族の他に年配者も多く、ゆっくりゆっくり下山し楽しかったなどと、元気に山の様子を話してくれた。

 畳平には団体用の大きなレストランの他、手頃な食事所が多くあって食事も楽しめる。ゆっくりと食事をしてからバスの時間までお土産店を見て回った。買い物客はハイカーよりもツアー客が多かった。

 ここでも中国と韓国、台湾からの観光客が多く見られた。帰りは3時5分のバスに乗り、麓には3時55分に着いて宿に入った。ゆっくり温泉に入り、6時からの夕食ではビールで軽く乾杯した。夕食のメニューは長野県産の食材が中心で、珍しい料理も多く美味しい食事だった。

花名不明

頂上の三角点

剣ヶ峰にある乗鞍本宮
松本城の天守閣をバックに

 ◇第三日目・8月26日(金)晴 午前6時に目がさめて部屋の窓を開けると空は青く広がり、さわやかな明るい朝を迎えた。朝からゆっくりと温泉に入り、ぜいたく気分を味わった。

 7時からバイキングの朝食。ここでも地域の食材を利用し、地産地消を心がけており頼もしく思った。土地の濃い牛乳も久しぶりに味わい満足した。帰る準備をしてゆっくり宿を後にした。またの機会があれば再度訪ねたくなる、おもてなしが行き届いた素敵な宿だった。

 9時27分発のバスで新島々に向かう。順調に乗り換えて松本駅には11時22分に着いた。荷物一切を駅のコインロッカーに預けて松本城へ向かった。駅から歩けば約20分ほど。路線バスもあるというが、タクシーに乗った。

 今年はNHKの大河ドラマ「真田丸」が好評で、松本城が注目されている。私はこれまで何十年も長野の山を登りながら松本を素通りしてきた。「真田丸」のおかげで初めて松本城を訪ねた。

 松本城は地元では烏(からす)城とも呼ばれている。その由来を案内冊子からごく短く引用すると、「豊臣秀吉は天正18年(1590年)に小田原城に北条氏直を下し天下を統一・・・・秀吉は松本城に石川数正を封じ、数正・康長父子は城と城下町の経営に力を尽くした・・・」と記している。

松本城天守閣

 松本城には大勢の観光客が訪れていた。私たちも1階から6階まで見学し昔の建築の素晴らしさに驚嘆した。説明によると、現存する5重6階の木造天守閣としては日本最古だそうだ。

 帰りは松本駅発午後3時19分の特急あずさに乗り、指定席でゆっくり体を休めた。計画通り豊田駅に5時50分に着いた。

 今回の山行は足が不調のため、登山は無理なので荷物を軽くして平地のみを歩くことにした計画だった。しかし、意外にも不便さを感じなかった。後日も特に足の痛みはなく、安心し満足した旅行だった。

(実高S33年卒、2016.10.06up)



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