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北アルプス・白馬3山を歩く−HP管理人

 HP管理人は8月初旬、山歩きの友人と2泊3日の行程で北アルプスの白馬3山を歩いた。3日間とも雨やガス(霧)にたたられ、山稜からの雄大な眺望を楽しむことはできなかった。

 しかし、その悪天候が幸いしたのか、これまで見ることができなかったライチョウを初めて見たり、雨に洗われた高山植物の清楚な花々に癒やされた。

白馬岳と白馬の大雪渓

 白馬3山は白馬岳(2932m)の他、杓子岳(2812m)と白馬鑓ヶ岳(2903m)をいい、雪渓と高山植物の豊富なことで知られている。白馬岳へは直下の大雪渓を登るのが直近ルートで一般的だが、このコースは友人が経験済みということで、栂池高原側から入った。

 早朝の長野新幹線とバス、ロープウェイなどを乗り継いで栂池の自然園を午前11時に出発した。 1時間半ほどで湿原の天狗原到着。ここからはごつごつとした岩場が続き、かなりハードな登りとなった。乗鞍岳(2469m)を越えたところで、急に強い雨が降り出した。

 雨がっぱを着込み、慎重な足取りで白馬大池山荘に急いだ。 午後3時前到着。ぬれた衣服を乾燥室に掛け、夕食時まで横になった。夕食は、よく煮込まれた美味しいハンバーグカレーでお替り自由。食べ過ぎないよう気をつけている小生もお替りを頼んだ。

咲き乱れる高山植物の花々

 翌日は若干ガスってはいたももの、まずまずの天候だった。白馬岳を目指し、午前6時に山荘を出発した。登るにつれ視界が開け、右前方には雪倉岳(2611m)が遠くに見え、左側遠方下には出発地の栂池自然園や白馬村までが見渡せ、天候回復に期待が膨らんだ。

 しかし、小蓮華岳(2766m)に近付くにつれガスが濃くなり、眺望が利かなくなった。そんな中、登山道脇のハイマツの中から突然1羽のライチョウが現れ、餌をついばみ始めた。慌てて撮ったのが下の写真だ。コンパクトデジカメだったこともあり、残念ながらこの程度のものとなった。

 これまで何度もライチョウを見たという友人によると、小雨や霧が濃くなった方が天敵に発見される可能性が低くなり、現れる確率が高くなるのだそうだ。

 数年前にはこの友人と群馬県の武尊山(2158m)を登山中、運悪くクマに遭遇し、肝を冷やしたことがあった。しかし、今回はこの悪天候が続いたためにその後も幸運は続き、ひなを連れたライチョウに何度も出合うなど、天候に恵まれたとしか言いようがなかった。

ハイマツの近くで餌をついばむライチョウ

ウルップソウ

コマクサ

クルマユリ

タカネナデシコ

クガイソウ(?)

ヤマハハコ

ミヤマアズマギク
トウヤクリンドウ

 前にも触れたが、白馬山系は高山植物の宝庫として知られている。登山道脇には様々な種類の高山植物のかれんな花が風に揺れ、我々を優しく出迎えてくれた。写真はその中のほんの一部だ。

 中でもウルップソウは初めて見る高山植物だった。白馬村営天狗山荘の周りでは、長い花穂から多くの青紫色の花を伸ばし、今を盛りと咲いていた。名前の由来は、千島のウルップ島で最初に採取されたことによる、のだという。

 白馬岳山頂から下る途中に出会った中高年の登山客が、「雨に降られて山の景観は望めなかったが、ウルップソウの群生などのお花畑が見られただけで、元を取った気分だ」と話していた。我々もそんなお花畑の中を歩き、まさにその通りだと実感した。

霧に煙る雪倉岳(2611m)

ハクサンシャジン

ミヤマシオガマ

ウサギギク

ミヤマシシウド

チシマギキョウ(紫色)とミヤマカラシ

クガイソウ

危険な鎖場

雪解け水が流れる杓子沢

県境の上に建つ白馬山荘
友人(右)と小生(白馬鑓ヶ岳頂にて)

 杓子岳は巻き道を使い、山頂には登らなかった。白馬鑓ヶ岳山頂を経て、天狗山荘には午後2時過ぎに到着。雨にぬれ冷えた体を温めようと、白馬産の酒を熱かんしてもらった。小降りだった雨は、しばらくしてから本降りとなった。TVニュースでは白馬村に大雨洪水警報が出、JR大糸線は不通になっていると伝えていた。

 翌日には下山し帰京予定の我々は少々不安となり、山小屋のスタッフからナマの情報を収集することになった


 スタッフによると「白馬鑓温泉小屋までは数か所の危険な鎖場がある。雨が強い場合、山道は小さな渓流となる。また、温泉から下の沢には幾つか手作りの簡易な橋が架けられており、橋が流されたら渡れなくなる」などと教えてくれた。

  翌日の朝食はおにぎり弁当にしてもらい、早目に出発することになった。天候の回復を祈りながら横になったが、天候が気になったのか、なかなか寝付けなかった。

白馬鑓ヶ岳

 午前4時半過ぎ起床。同5時20分に出発した。他の登山客の大半は、我々より先に出ていた。雨は降ってなかったが、ガスが立ち込め鑓温泉への分岐まで全く眺望が利かなかった。

 幸運なことに、この分岐までの尾根筋でもライチョウ親子を見ることができた。それもひなを5羽連れていた。分岐を下り始めてからようやく視界が良くなった。山の斜面には高山植物が群生し、さまざまな花が一面に咲き乱れていた。 また、登ってくるグループもいることから簡易橋は流されていない、と一安心した。

 鎖場などの難所が始まる地点の手前で、「両手が使えるよう、ストックをしまいなさい」との注意表示があり、素直に従った。そこからはゆっくりと慎重に歩を進め、両手で鎖をつかみながら下った。天狗小屋スタッフが話していた通り、雨が降っていたらかなり難儀するところだった。

日本語の他、英語、中国語、ハングルで表記された案内板

 鑓温泉に着くと、露天風呂から硫黄の強い匂いが漂っていた。ここで小休止し軽い朝食を取った。ここからバス停のある猿倉までは、さらに4時間ほどの行程だった。途中、3か所の沢を越えた。前日の大雨の影響で登山道には水がたまり、岩は滑りやすく歩きづらい個所が多かった。

 小生は白馬山系を歩くのは初であった。スキー場やお花畑があり、若い女性に人気があるそうだ。そんなことから、白馬は優しい山というイメージが強かった。しかし、今回の山歩きで初日からそのイメージは覆された。

 正午過ぎに猿倉到着。バスでJR大糸線白馬駅に出た。近くの食堂でビールと昼食を取り、松本経由の特急あずさで帰京した。


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(山田信廣=実高S43年卒、2016.08.06up)



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