会員からのお便り

東京でダーナを採る−仁禮善美

 私は今、東京で自生しているダーナ(コサンダケ、ホテイチク)を採るのにはまっている。「えっ!東京でダーナが採れるの?」と、奇異に感じるかもしれないが、自分もつい最近になって採れるのが分かった。
 近くに住む同窓会先輩のYさんからダーナ採りに誘われ、初めてそれを知った。これまで3回ほど同行させてもらった。収穫後は、古里で食べたダーナ料理を作り黒糖焼酎のおつまみとして楽しんでいる。

多摩川河川敷にあるダーナの竹やぶ(右側)

 ダーナ採りデビューは5月某日だった。早朝、鎌と袋それに雨靴を持参しYさん宅に集合。車で新青梅街道から国道16号を1時間ほど走り、多摩川中流域の某所に到着した。早速、雨靴に履き換えるなどの身支度を整え目的地の河川敷を目指した。新緑が目にまぶしく、ウグイスやメジロ、ホトトギスなど小鳥のさえずりが心地良い。気分はもうすっかりハイキング気分だ。
 ダーナは子供の頃、田植えの時季に母親から採ってこいと言われ、採りに行ったことがある。昼食のみそ汁用の具にするためだ。そんな遠い昔のことを思い出しながら歩くこと約10分。竹やぶに着いたのだが、少々気後れする光景に出合った。
 竹やぶとは聞いていたが、テレビなどで見る整然とした竹林をイメージしていたからだ。とげがいっぱいのイバラが生え、写真のように竹は折れ曲がり、さらに川上から流れてきた材木やペットボトルなどのがれきが転がっている。やぶの中に入るのを一瞬ためらった。

曲がりくねった竹やぶに入りダーナを採る私

自作のダーナの煮物料理(コンニャクなどとのごった煮)

自作のショウガとダーナのかつお節そぼろ
Yさん宅でいただいたスペアリブとダーナの煮物

 先に入ったYさんの「この辺に少し生えているぞ!」の声に促され、意を決してやぶの中に入って行くと、20〜30センチ程度のダーナが数本顔を出していた。まだ短いかなとは、思いながら根元から鎌で刈り採った。
  この河川敷の竹やぶは野球場ほどの広さがあるそうだ。10数本採ったところで、もっと出ていそうなところを求めて移動した。その移動が大変で、場所によっては匍匐(ほふく)前進を強いられた。地元に住む人もダーナを求めて2〜3人がこの一帯に入っていた。生育状況の偵察を兼ねて来たそうだ。
 情報交換したところ、今年は2月に降った30〜40センチの大雪の影響で遅れているとのことだった。その上、雪の重みで竹が折れたり曲がっていたりで、足場が悪く歩きにくいことこの上ない、とこぼしていた。

鎌でダーナの根元を刈り採る

刈り採ったダーナ

ダーナの皮をむく私
ダーナと鎌を手にするYさん

 結局、1時間ほどで数10本を収穫した。その後、Yさん宅でY婦人が作ったスペアリブとダーナの煮物をいただいたが、懐かしく古里を思い出す味だった。帰宅途上、スーパーに寄りダーナと煮付けるさつま揚げやコンニャク、イカげそなどの食材を求めて、早速ダーナ料理に取り掛かった。
 Yさんは10年ほど前、近所に住む友人からこの場所を教えられた、という。それからは毎年、この季節になるとダーナを求めて数回採りに行くそうだ。採れ過ぎて食べ切れなかった分は、水気を切ってからジッパーつきのビニール袋に入れ、冷凍保管しておくのだ、という。時折、煮付けなどにして食べながら年末まで持たせ、最後は大みそかの豚骨料理に使うそうだ。

米ぬかを入れ湯がいてあく抜きする
湯がいた後、天日で干し水気を切る

 これまでモウソウ竹のタケノコ料理しか食べてなかった家族は、大味なモウソウ竹とは違ったダーナの微妙な味に大喜びだ。今ではもっと採ってきて欲しいと要請されている。初回に比べ、行くごとに収穫量も増えてきた。6月初旬までは収穫可能時季とのことなので、私も季節の食材確保に努めてみるつもりだ。

 HP管理人から=小生もタケノコを採るのと食べるのが大好きだ。10余年前、島根県松江市で単身赴任中には食べきれないほど収穫した。松江市の郊外に住む友人から、裏山のハチク(ダーナより太く孟宗竹より細い。日本海側に多い)が屋敷内に侵入してくるので、採って欲しいと依頼を受けたからだ。 煮付けにしてから毎日食べても余り、単身者用の小さな冷蔵庫で冷凍したが、たちまち満杯となった。
 他の友人らにあげる一方で、東京の留守宅に送った。そこも満杯となりもう要らないので、送るなとのお達しがあった。採ったものを捨てるのはもったいないと思い、しまいには奄美へ送った。しばらくしてから、味はどうだったかと電話を入れたところ、専用の冷凍庫が壊れており全て腐らせてしまった、とのこと。ガックリしたことを思い出す。

(実高S44年卒、2014.05.26up)



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