会員からのお便り

世界文化遺産登録の富士山へ−小勝竹雄

 日本の名峰・富士山(3776メートル)は今年6月、めでたく世界文化遺産に登録され、さらに世界にその名を広めている。私は75歳になった今年も7月29日から31日にかけ、夫婦で通算6回目の富士山に登った。初日は雨だったが、二日目からは好天に恵まれた。
  しかし、女房が本八合目で体調をくずしたため、無理をせずに登頂を諦めて本八合目からご来光を眺めて下山した。富士登山は、関東方面からだと一泊二日の行程が一般的だ。車、電車、バスツアーに限らず、早朝に出発して八合目の山小屋で一泊。翌朝未明に出発し頂上でご来光を迎える行程だ。 しかし、高齢者や家族で子供連れの場合は、十分な睡眠と体力を考え二泊して登る人も多い。私たち夫婦も近年は年齢を考え登山口の五合目の山荘に一泊し、八合目の山小屋でもう一泊する二泊三日の無理のない日程で登っている。

富士山本八合目からのご来光(31日午前5時3分)

 <一日目・29日>=初日はあいにくの雨だったが、翌日からの好天を願ってJR中央線・豊田駅を午前11時に出発。JR横浜線から小田急線、JR御殿場線と乗り継ぎ、御殿場駅からはバスに乗り、須走口五合目の山荘には午後4時に到着した。早目の夕食を取り、消灯の午後8時に就寝した。

 <二日目・30日>=午前6時に山荘を出発した。天気予報通り朝から青空が広がり、涼しい中を歩き始めた。今年は富士山が世界文化遺産に登録されたこともあり、登山者はかなり多くなっていると、山荘のご主人が話していた。やはり世界遺産登録の効果は大というわけで、わが奄美群島の世界自然遺産への登録が待たれるところだと思った。

七合目から八合目方面を見上げる(30日)

  約2時間かけ六合目には8時前に着いた。六合目からはかなり厳しい登りになってきた。高山植物や風景写真を撮りながらゆっくりしたペースで登った。おかげで心配した高山病や足腰の疲れも少なく、午後3時40分に予定通り本八合目の山小屋に着いた。
  夕食まで小屋の外などで休憩。眼下には山中湖、かなたには山梨県や丹沢方面の山々が美しく眺められた。午後5時に富士山定番のカレーライスの夕食を取り、7時ごろ床に就いた。昨年から寝室の布団は寝袋に変わり、昔と比べ少しゆったりして寝心地が良かった。

 <三日目・31日>=出発準備のため、午前1時に起きた。しかし、女房の体調が思わしくなく、登頂を断念してこの本八合目でご来光を迎えて下山することにした。 小屋から外に出て見ると、登山道はかなりの渋滞でヘッドライトの光の帯が長く続いていた。この本八合目が須走口と吉田口からの登山道の合流地点になっているためだ。夜明けまで睡眠を取ることにして再び床に就いた。
  午前4時半「ご来光の時間になりましたよう・・・」の声で起きた。外の気温は5度。真冬の寒さだ。小屋の人の話では風雨の強い日は零度以下になるという。少し元気になった女房と防寒具を着けて外に出た。
  好天に恵まれた満天の星空の下、やがて眼下に広がる雲海は徐々に夜明けの兆しを見せ始め、少しずつ茜色に染まってきた。間もなく鮮やかなご来光の光が差し始めた。午前5時3分、見つめていたみんなから自然に拍手が起きた。感動の一時だ。小屋前の通路は大勢のハイカーでにぎわっていた。

本八合目で妻と記念の1枚(31日)

 朝食の注文は自由で、熱いうどんを頼んだ。大変おいしく女房もすっかり元気になり、午前7時に下山開始。下山道の砂走りは29日の雨で湿っており、砂ぼこりが立たず助かった。それでもマスクをして、山靴にスパッツ(砂と小石除け)を付けて下った。
  約10年前は道幅が広く砂道の歩きにくい急坂続きだった。しかし、今ではロープが張られ、道幅は狭いながらもかなり整備され歩きやすいコースに変わっていた。やがて須走口五合目には、午前10時40分に到着。頂上まで行けなかったため、予定より2時間ほど早く着いた。

メイゲツソウ

ホタルブクロ

イワツメグサ

クルマムグラ

ベニバナイチヤクソウ

クルマユリ

ヤマイチゴの実

ムラサキモメンヅル

ミヤマオトコヨモギ
不明

  話は前後するが、今年から試験的に徴収を始めた入山料は、一人1,000円だった。登山道の入り口で、二人分を納めて記念のバッジを受け取った。強制ではなく任意となっているが、ほとんどの人が納めていた。今後は制度的に登山者全員から徴収し登山道や山小屋、トイレなどの整備にもっと力を入れてほしいと思っ た。
  29日に泊まった山荘でしばらく休憩し、正午のバスで御殿場駅へ。帰路は御殿場から同じルートで帰宅した。富士山は厳しい山だが、やはり魅力ある日本一の山だ。今年は残念ながら頂上にたどり着けなかったが、来年もまた行きたいと思っている。

(東京配田ヶ丘同窓会会長=S33年実高卒、2013.08.31up)


HOMEへ

Copyright (C) 東京配田ケ丘同窓会/ホームページ委員会 All Rights Reserved.