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絵画の世界に魅せられて−津江三千子

 私が趣味で絵画を描き始めてから、もう25年が経ちました。下の子どもが幼稚園に行き始め自分の時間が出来たため、軽い気持ちで始めましたが、こんなにのめり込むとは思ってもみませんでした。

 その間、自分には才能がないと何度も諦めかけました。しかし、心の中を表現したいという思いが消えることは無く、ここまで来ることができました。

 現在、8月の東京・六本木の国立新美術館である「第14回日本・フランス現代美術世界展」と、9月初旬に東京・銀座の画廊で行う個展の準備に追われる毎日です。

「月に咲く」(30号、2010年作) 画像クリックで拡大します

「月に咲く」(20号、2011年作) 画像クリックで拡大します

上の2作は自然界に脈々と息づく生命、魂の鼓動、ささやきを自分の心と対話しながら描きました。
森羅万象、全てのものと共存していることを日々痛感しています。


  絵画を始めた頃は埼玉県に住んでいました。県展に出品し入選を重ねて、埼玉県芸術家協会員になるまでは大変でした。涙を流しながら徹夜して描き、作品を車の屋根に積んでもらい浦和市(現さいたま市浦和区)の美術館に搬入したものです。

 今、この原稿を書きながら当時のことが脳裏によみがえり、いろんな方々にお世話になりながらここまで来たんだな、と改めて感謝の気持ちで胸が熱くなっています。

 絵画については、小学生時代に何か賞をもらった記憶がある程度で、特に得意科目というほどではありませんでした。しかし、描くのは大好きでした。絵画を始めてから埼玉県展に出展している頃の5、6年は、週1回のペースで近くの絵画教室に通っていました。

 その後、50歳を過ぎてから東京都内の美術専門学校に3年間通う機会に恵まれました。 それまでは油絵とアクリル画を主に描いていましたが、日本画の落ち着いた雰囲気のある色調に引かれ、1年間は日本画の基礎を学び次の2年間も絵画研究室で専門的に技法などを学びました。

パリ・シャンゼリゼ大通りのサロン・ドートンヌ会場

サロン・ドートンヌ展で入選した「鎮魂華」の前にて

パリ・夜の凱旋門前にて
奄美パークでの企画個展時、姉夫婦と私(右)

  日本画を学ぶきっかけとなったのは、今から10数年前に古本屋で手にした「平家納経」の金箔(きんぱく)と銀箔(ぎんぱく)による装飾の美しさ、そこに広がる世界観に強く引かれ、そのような装飾美を自分なりに表現したい、と思ったからです。

 遅まきながら始めた専門的な絵の勉強のかいがあったのか、2003年には第57回女流画家協会展入選、04年は第72回独立展入選。さらに昨年はフランスの美術展覧会「サロン・ドートンヌ」にも入選し、芸術の都と呼ばれるパリを初めて訪れました。

 その間の05年には、鹿児島県・奄美パーク内の田中一村美術館で「〜ささやくものたち〜」と題する企画個展(36点)を開催。私の拙い絵を奄美の方々にも鑑賞していただき、とてもうれしかった思い出がよみがえっています。開催に当たっては、大勢の方々の力を借りて実現することが出来、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

奄美パーク企画個展時のポスター

  私の絵は写真でご覧のように、現実にある風景をそのまま写生するのではなく、心の中に思い浮かべたり刻み込まれた心象風景を描く抽象画です。

 私は絵を描き始めてから、自分が育った環境やバックグラウンドがいかに大切で大きな影響を受けているか、再認識しています。自分の絵を見て、ことさら古里の自然環境や風土、文化の大きさを感じています。

 私は現在、都内にある自宅の部屋をアトリエにして、週に30〜40時間ほど絵画と向き合っています。また、絵のイメージを膨らませるため、散歩や旅行などをして自然の中に身を置いたり、図鑑なども見て五感を高めています。

 奄美の自然の懐に抱かれ育ったことが森羅万象をより強く感じ、それを表現することが私の絵につながっていると思います。

奄美パークの企画個展では 3号〜200号まで36点を展示した

大勢の鑑賞者で賑わった企画個展

 今後は奄美の森の精霊やエネルギー、自然観、精神世界なども自分なりに表現していきたいと模索しています。まだまだ旅の途中ですが、自分の絵画がどのように変化していくのか、自分でも楽しみです。また、思いもかけず生涯のライフワークに出会えたことは、本当に幸せなことだと感謝の念に堪えません。



 前記した個展等は、下記の会場と日程で開催の予定です。ぜひともご高覧いただければと思います。お待ちしております。

・「第14回日本・フランス現代美術世界展」は、東京・六本木の国立新美術館にて。8月7日〜同18日まで。1点出品予定。

・東京・銀座の個展は「銀座幸伸ギャラリー(中央区銀座7−7−1)」で9月2日〜同8日まで。サムホール(22.7×15.8センチ)〜200号まで20点ほど出品予定。

(S43年実高卒、2013.07.12up)


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