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奄美・湯湾岳のソメイヨシノ−アマミノクロウサギ

  奄美のサクラはヒカンサクラが主だが、当地でもソメイヨシノが咲いているのをご存知だろうか。そこは、宇検村と大和村にまたがる湯湾岳(海抜694.4メートル)の中腹(標高300メートル付近)にあり、そこには20本ほどが植栽されている。

奄美では珍しいソメイヨシノ。多くの花見客が訪れる

 頂上に続く道路沿いのヒカンサクラはすでに葉桜となり、最近まで静かな山中となっていた。しかし、ソメイヨシノが満開となった3月末の休日には、奄美では珍しいサクラを見ようと多くの観光客が訪れ、久しぶりのにぎわいを見せた。
 宇検村役場によると、このソメイヨシノの樹木は1969年に「日本さくらの会」から寄贈を受け、役場職員と住民の有志らが植栽した。今では幹の直径が30〜40センチほどに生長し、毎年薄いピンクの花を咲かせている。
 この一帯は、1月中旬から2月下旬にかけては「憂いのある濃いピンクのヒカンサクラ」を、3月末から4月初旬には「優雅な薄紅のソメイヨシノ」の花が鑑賞できる貴重な場所だ。

雑木林をバックに咲くソメイヨシノ
奄美岳と記された石柱

 このソメイヨシノが咲く奄美諸島の最高峰は、一般的には湯湾岳で通っているが、国土地理院によれば「奄美岳」が正式な呼称のようだ。湯湾岳の頂上には、四角形の石柱が立っており、『日本国有地 奄美岳』と刻まれている。たぶん、奄美の最高峰を意味した呼称なのだろう。
 また、登山口の案内板には阿麻弥姑(アマミコ)と志礼仁久(シレニク)の二神がこの山に降臨し、奄美大島を創生したとする神話を持つ霊峰である、と記されている。

かやの屋根ががふき替えられた「高倉」

 ところで、湯湾岳の麓にある宇検村役場庁舎の庭に建つ「高倉」は、このほどかやの屋根が30年ぶりにふき替えられた。時折、村内の小中学校生らがこの高床式倉庫を見学に訪れている。
 ちなみにふき替え費用は150万円ほど。村内にはふき替え職人がおらず、奄美市笠利町の「茅葺き技術保存継承の会」に委託したそうだ。予算規模の小さな自治体にとっては貴重な財源だが、伝統文化・技術を残すのは大事なこと。“目くじら”を立てないようにしたい、と思った。

(佐々木一宇=S38年実高卒


 HP管理人から=暖かい奄美でも写真のように、立派なソメイヨシノが咲いているのには感心しました。小生は4年前、龍郷町に住む実兄の畑の土手に東京から持参したソメイヨシノと河津サクラの苗木を植えてもらったことがあります。
  河津サクラは順調に生長しているものの、ソメイヨシノはしばらくして枯れたそうです。湯湾岳の中腹は涼しく、ソメイヨシノの生育条件に合致しているのでしょうか。ぜひ一度、奄美の雑木林の中に咲くソメイヨシノを見てみたいものです。

(2013.04.04up)


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