「２０１２年ロンドン語学留学記」（その２）−津田ミキエ

　
　 私は、去年の７月から９月までの３カ月間、ロンドンへ語学留学に行って来ました。普段は、司法書士事務所で働いています。 社会人になってから語学留学するのは、短期間といえども大変ですが、小さいころからの夢で、いつまでも諦めきれなかったので、事務所の皆さんや家族、友達他いろいろな方々の助けを受け、この何十年来の夢を実現することができました。 今回の記事は、前回の続きになります。

　７月下旬になると、肌寒い日もだいぶ減り、強い日差しが照りつけ、暖かい日が訪れるようになりました。そして、ロンドンオリンピックが開幕しました。 　　ロンドンの中央部を走っているセントラルラインという地下鉄がオリンピック期間中、混雑のため何度も遅延・停止しました。
　 毎朝使っていたバスも、聖火リレーやマラソンのためルートを遠回りに変えたので、オリンピック直前とオリンピック期間中は、語学学校まで行くのも一苦労でした。この期間中は、ロンドンのあらゆる観光名所も混雑しているように私には見えました。

オリンピックパーク

　 私はもともと、あまりオリンピックには興味がなかったのですが、せっかくオリンピック期間中にロンドンにいるのだから何か見て来ようと思いました。語学学校で友達になったイタリア人カップル、日本人の女の子と私、計４人で、ロンドン郊外にある、オリンピックパークへ遊びに行きました。
　 混雑している電車や地下鉄を乗り継いでオリンピックパークへ行ってみると、電車以上の混雑で、前へ進むのも大変でした。やっとたどりついて中に入ろうとしたら、何らかのオリンピックの観戦チケットか、パークへの入場チケットを持ってないと、パークに入ることすら出来ないと、門前払いをされてしまったのです。
　 私と日本人の女の子は、諦めてさっさと引き返そうとしましたが、イタリア人カップルは、これだけ人がいるのだから、こっそり中へ入ってみようと言うのです。そんなこと無理だと、私たちは反対したら、さらにイタリア人の彼は、君たち女性があそこの警備員にキスをすれば、こっそり入れてくれるんじゃないかと言い出すのです・・・！
　 私たちはそれも断り入場を諦め、パークを後にすることにしましたが、イタリア人カップルは、何とか中へ入る道を探ると言って、その場に残りました。 翌日、彼らに聞いてみたら、結局、入場料を１０ポンドくらい支払って、中へ入ったそうです。

セントポール大聖堂（撮影日はマラソン開催日とは別）

　 オリンピックパークにも行かず、ホストファミリーの家でもあまり日本人選手の競技は見られないまま、オリンピックの最終日が近付いてきました。 せっかくオリンピック期間中にロンドンにいるのにこれはいけないと危機感を覚えた私は、最終日の男子マラソンの観戦に慌てて出かけました。
　 セントポール大聖堂がある付近に出かけてみたところ、案の定、大勢の人たちがマラソンコースの沿道に集まっていました。しかし、マラソンコース自体がとても長いので、苦もなく観戦場所を見つけることができました。
　 大聖堂の鐘が音楽のようにずっと鳴り響いており、人々の歓声もあちこちから聞こえ、裁判所やオフィスが多くある普段静かなこのエリアが、いつもと全く違った雰囲気になっていました。

先頭集団を撮影するカメラマンを乗せた車

　 数十分ほど待つと、上空をヘリコプターが飛ぶようになりました。その後、カメラマンとカメラを乗せた戦車のようなテレビ中継の一団と、先頭集団のマラソン選手が猛スピードで私たちの前を駆け抜けていきました。びっくりするくらいのスピードで、私からすると短距離走にしか見えませんでした。マラソン選手の走りがこんなに速いとは全く知りませんでした。
　 あっという間の出来事で、日本人選手を探すことや写真を撮ることもできませんでした。そこで、選手が２周目で回ってきたときには、カメラをしっかりと準備し、何とか写真撮影もでき、選手をよく見ることもできました。

中本健太郎選手の力走。６位入賞した

　 マラソン選手の走りは、速いだけでなく姿も美しく、さらに精神的な気高さも感じて、圧倒されるばかりでした。 セントポール大聖堂の付近は、２周だけマラソン選手が走るコースだったので、２周目が終わると、大聖堂の鐘も静かになり、観客も帰り始めました。
　 短い時間の観戦でしたが、最後に間近で選手を見られたことは、とても良い体験だったと思います。 オリンピックが終わり、パラリンピックのシーズンになると、ロンドンは、少しずつ混雑が緩和されてきました。そして、短い夏が終わり、寒い日が再びやってくるようになったのです。 （続）

（2013.02.26up）