ノーベル賞受賞者の大村智教授を招き文化講演会開催−東京奄美会
東京奄美会(大江修造会長)は6月29日、東京・四ツ谷の主婦会館でノーベル賞受賞者の大村智教授(北里大学特別栄誉教授)を講師に招き、「『一期一会』が人生を拓く」と題する文化講演会を開催した。
講演会には会員の方々の縁者を含む200人余が出席。大村教授が大学時代からこれまでの人生を振り返りながら、様々(さまざま)の人との出会いを通じて刺激やサポートを受けて今があることをユーモアを交えながら語った。
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プロジェクターを使いながら講演する大村教授
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講師の大村教授
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講演資料の一コマ
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講師のプロフィール紹介によると、大村教授は1935年、山梨県の韮崎市生まれ。山梨大学卒後、東京理科大などを経て65年に(社)北里研究所に研究職として入所した。
その後、同研究所理事・所長に就任し、2015年にノーベル生理学・医学賞と文化勲章を受賞。現在は北里大学特別栄誉教授の他、(学)女子美術大学名誉理事長を務めている。
大村教授は微生物が生産する有用な新規天然有機化合物を目指して独創的な研究を行い、500種類余の化合物を発見。うち26種が医薬、動物薬、農業用薬剤になどとして使われ、感染症の治療や生命現象の解明などに貢献している。
特に抗寄生虫薬イベルメクチンは、熱帯病のオンコセルカ症などの予防・治療役として年間3億人に使われている。
また、美術愛好家としても知られ、郷里の韮崎市に韮崎大村美術館を建設。収集した2,000点余の絵画等を寄贈した。
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大村教授の母校の校訓・百折不撓(ひゃくせつふとう)
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大村教授の心構え
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講演会は勝光重文化広報部長による本講演会の主旨説明などに続き、大江会長が大村教授を講師に招くことになった経緯などを紹介した後、大村教授が登壇した。
大村教授はビデオプロジェクターで資料映像を投影しながら、「墨田工業高校定時制教諭時代に生徒の汚れた手を見て一念発起し、学び直そうと東京理科大大学院に入った」
「自主的延長したため修士課程を終えるのに3年かかったが、3年次に東京工業試験所のNMR(核磁気共鳴装置)に出合えたのは良かった」
「大学で研究職に就いても自分の経歴では講師止まりと周囲から言われ、学歴社会の日本を相手にしなければよいと米国に渡った」などと述べた。
米国では化学品・医薬品メーカーであるメルクから研究費を得て共同研究に没頭し、抗寄生虫薬イベルメクチンなどの開発につながった。その上で、いずれの人生の岐路に置いても尊敬する先達からの助言があった。互いに誠を尽くす一期一会の心構えを大切にしていると語った。
大村教授はさらに、働き過ぎて体調不良になったことが一時あった。診察を受けた医師から「仕事を忘れなさい。そのためにはパチンコかゴルフをしなさい」と言われ、ゴルフを始めた、という。
その上で、健康で仕事をやっていくためには趣味などを通じた健康管理も必要だ、と自分自身の心構えを披露。最後に建築構造学者で東京タワーなどを設計した内藤多仲の言葉「積み重ね つみ重ねても またつみかさね」を紹介し、努力・努力・さらに努力していくことが大事を成すのではないかと話し、講演を締めくくった。
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花束を贈呈する千葉真弓会計長
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熱心に聞き入る参加者
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文化講演会に初参加したという60代の女性は「夫婦そろっての参加で、とても有意義な時間でした。梅雨時でしたが、まさに知的シャワーを浴びたという感じです。ノーベル受賞者にお目にかかるということは、生涯に一度あるかないかの大変光栄な出来事でした。大村先生の研究が世界の多くの人を救済したという話に感銘しました。『一期一会』『実践躬行』の言葉が身に沁みます。言うは易し行うは難しです」と感想を述べた。
その上で「北里大学メディカルセンターは仕事でお世話になっている病院です。多くの絵の展示があり、待ち時間には絵の鑑賞で癒やされます。『ヒーリングアート』の先駆けだと知りました。このような講演会を企画された東京奄美会の皆様に感謝いたします。大村先生のご講演を再度、拝聴したいと願っております」と語っていた。
また、講演を聞きに来た70代の男性は「人生の終活期に入った私よりもっと若い人たちに聞いてもらいたかった。しかし、西郷どんがフィラリア感染症だったことや奄美がフィラリアに悩まされていたことなど、話の内容に興味は尽きなかった。面白く、あっという間の1時間余の講演でした」と話していた。
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参加者との記念写真に収まる大村教授(画像クリックで拡大します)
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参加者との記念写真に収まる大村教授(画像クリックで拡大します)
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参加者との記念写真に収まる大村教授(画像クリックで拡大します)
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参加者との記念写真に収まる大村教授(画像クリックで拡大します)
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懇親会も開催−120人余が参加
文化講演会終了後、奄美会は会場を主婦会館地下2階に移して懇親会を開催した。120人余が参加した。懇親会は勝文化広報部長のあいさつ後、森眞一前会長による乾杯の音頭で和やかに始まった。
懇談後の余興の部では、山ゆり会のメンバー3人が祝唄「朝花節」と「雨ぐるみ」、「豊年節」を歌って始まった。その後、小坂京子さんのマジックショーと希望者によるカラオケが次々と飛び出し、場を盛り上げた。
さらに里見和廣さん・小坂田上さんコンビによるユーモラス芸能「珍道中」が披露されて笑いを誘い
、久永さとみさんが「スラヨイ黒糖」などの奄美新民謡を3曲歌った。
最後に山ゆり会が再び登場し「六調」を歌い出すと、参加者が我先にと踊りの輪に加わり最高潮の盛り上がりとなった。定刻過ぎに坂井正道事務局長の閉会の辞の後、万歳三唱で終了した。
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久永さとみさんの奄美新民謡に合わせ踊る参加者
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六調を歌う山ゆり会の左から水間和代さん、折原誠司さん、太田まさみさん