レポート

第6回奄美島うたのど自慢大会を開催−奄美文化交流協会など主催
−指宿さん(島唄の部)と吉田さん(新民謡の部)が優勝−

 奄美関係者にとっては夏の風物詩ともなっている奄美島うた・のど自慢大会が8月30日、東京・目黒区の区民センターホールで開催された。奄美文化交流協会・奄美島うたのど自慢実行委員会の主催で、今年は第6回目。年々知名度が上がり、今年はTV番組「カラオケバトル」で7連勝中の歌手・城南海(きずき・みなみ)さんがスペシャルゲストということもあり、この日も大勢の観客でにぎわった。

 大会は5部構成で、第1部の島唄の部には17人が出場。昨年、準優勝した指宿桃子(いぶすき・ももこ、名瀬出身)さんが「むちゃ加那節」を歌い優勝した。新民謡の第2部には13人が出場。北海道出身の吉田清果さんが「名瀬セレナーデ」で、初出場ながら見事優勝を果たした。

 舞台上ではこの他、休憩を挟みながらの唄遊びやゲストによる琉球舞踊や新民謡、城さんによる歌謡ショーなどが次々と披露され、最後まで飽きさせることがなかった。フィナーレでは全員が「島のブルース」などの歌と踊りで盛り上がり、来場者は終日奄美の世界を楽しんだ。
城さんを囲んで島唄優勝の指宿さん(左)と新民謡優勝の吉田さん

小雨の中、開場を待つ観客

 この日はそぼ降る小雨の中にもかかわらず、会場には朝から観客が三々五々と集まり始め、開演時間を待たずに約400人の入場者で満席となり、立ち見も出るほどの盛況ぶりとなった。

 開演に当たり、司会者から審査員を務める末次棋一郎さん(元NHK民謡担当チーフディレクター)、島唄研究家の小川学夫さん(鹿児島純心短大名誉教授)ら4人の審査員の紹介と採点方法の説明があった。また、島唄の歌詞(方言)の意味が分かりやすいよう、解説を付け加えていくことなどもアナウンスされた。

「むちゃ加那節」を熱唱する指宿さん

島唄の部準優勝の勇さん「長雨切りゃ上がり節」

アカペラで「東れ日ぬ春加那」を歌う同3位の福田さん

審査員賞の永井さん「黒だんど節」

奨励賞の小幡さん「むちゃ加那節」

最高齢の出場者、住誠一郎さん「俊良主節」

奄美の叙情を込め「名瀬セレナーデ」を歌う吉田さん

新民謡の部準優勝の久原さん「ルリカケス」

同3位の新元さん「島むすめ」
同審査員賞の瀬戸山さん「太陽(ティダ)の島」

 その後、各出場者は持ち時間(3分間前後)の中で、三線やお囃子、カラオケの伴奏に合わせ熱唱。午後3時前、のど自慢大会は順調に終了した。

 3部のゲストショーでは琉球舞踊の碇浩二さんと新民謡の日高三郎さんが出演し、ステージに花を添えた。さらに、4部ではスペシャルゲストの城さんが登場。自身が作詞作曲した奄美方言だけを使った歌詞の「祈りうた〜トウトガナシ〜」など、「グイン」を利かせた美声で計5曲を歌い、聴衆を魅了した。

 審査結果発表と表彰式後のフィナーレでは、「ワイド節」や「六調」などの島唄が流れる中、出演者と観客が混然一体となって舞台上や通路で踊り、会場内は奄美の熱気に包まれ終了した。

 奄美出身の妻と一緒に来ていた東京生まれのSさんは、「方言の歌詞の意味が全く分からなかったが、癒しの中にも奄美の人たちのエネルギーを感じるイベントだった。元気をもらった気がする。次も来たい」と喜んでいた。

唄遊びの部「豊年節」では観客も一緒に踊り出した

三線を手に「祈りうた〜トウトガナシ〜」を歌う城さん

 

琉球舞踊を披露する碇さん(上)
新民謡を歌う日高さん(下)


 島唄部門優勝の指宿さんは「4回目の出場で優勝頂きました! またこれからもたくさんの人に島唄を知ってもらえるように頑張ります!」 などとツィートし、喜びを語っていた。受賞者には賞状とトロフィー、優勝者にはさらに副賞としてバニラエアから奄美往復航空券が贈られた。

 大会運営総括委員長の樺山浩三さんは「TV東京のザ・カラオケバトルで7連覇を達成した城南海さんのおかげで、5月末にはチケットが完売。チケットが無くなり多くの方々にご迷惑をおかけしました」と、おわびをした上で「私語がなく実にコンクールらしい会場の雰囲気があった。出場者の努力の結果、レベルもかなり上がっているようだった」と述べた。

  さらに「今年は戦後70周年という節目の年で、奄美の夜明けのさざ波と千鳥のさえずり、さらに三線の音が流れる中、藤井高徳氏(名瀬)に『私は 島を愛する・・・』で始まる奄美日本復帰の父・泉芳朗作の詩集『島』を朗読してもらった。同氏の優しい低音と間の取れた抑揚のあるナレーションにくぎ付けになった。これからも奄美文化と島唄の素晴らしさを発信していきたい」と、今後の抱負などを語っていた。

最後は出演者と観客が混然一体となり六調で盛り上がった


★優勝者を含む入賞者は以下の通り(敬称略、カギカッコ内は曲名)
・第1部島唄 @優勝 指宿桃子(名瀬)「むちゃ加那節」 A準優勝 勇みつえ(与論町)「長雨切りゃ上がり節 」 B第3位 福田順之(龍郷町) 「東れ世ぬ春加那節」 C審査員賞 永井枝子(大和村)「黒だんど節」 D奨励賞 小幡美紀(笠利3世)「むちゃ加那節」
・第2部新民謡 @優勝 吉田清果(北海道)「名瀬セレナーデ」 A準優勝 久原卓也(瀬戸内町)「ルリカケス」 B第3位 新元そら(宇検村)「島むすめ」 C審査員賞 瀬戸山千夜子(瀬戸内町)「太陽(ティダ)の島」

・奄美新聞の記事を見る(PDF)

 (2015.09.03up)


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